スペインのサラゴサ Zaragoza 大学で約1年の研修を終えて最初に赴任した国は、メキシコでした。
駆け出し外交官の私が苦戦したのは、電話の応対でした。日本語でも電話の応対というのは、簡単なようでなかなかコツがいります!
スペイン語で「もしもし」は、中南米では 「アロ Aló!」、なかなか聞こえないときは「アロ!アロ!」、スペインでは 「オィガ Oiga!」、返事がないと「オィガ!オィガ!」、当時のメキシコの電話は、こんな感じでした。答える方は、「ディガ Diga!」です。問題は、誰からの電話かがよくわからない時です。よく教えられるのは「キエンアブラ? ¿Quién habla?」なのですが!
ちょっと解説します!アロ!アロ!は、英語の hello! hallo! から!oiga とdiga は、聞くoir と 言う decir の接続法現在形を使った丁寧な命令形!直訳では、それぞれ、聞いてください!喋ってください!でしょうか。
次に、 キエン アブラ ですが、Quién は疑問詞!英語の who です。habla は 話す hablar の三人称現在形!「誰が喋っていますか?喋っているのは誰ですか?」という意味です。かなりぶっきらぼうな感じですが、これで普通は大丈夫です!
ここで本題なのですが、「どちら様でしょうか?」と丁寧に尋ねる表現があるはずと思うわけです!みなさんはいかがですか?英語ではどうでしょうか?私のブログは、すべてを解説しません!調べたい人は調べてください!
スペイン語で私が一番重宝した表現!それは、¿Con quién tengo el gusto? です。コン キエン テンゴ エル グスト ↑ です。直訳すれば、「私は、どちら様と喜びを共有しているのでしょうか? 」となり少し型苦しいですが、私の訳は、「お電話をいただきありがとうございます!どちら様でしょうか?」です。
どんなにランクが高い人からの電話かわかりませんので、この表現は重宝しました!丁寧すぎて悪いはずがありません!
私の訳は、状況によってどんどん変わります!レセプションやパーティで、見かけたことはあるが、これまできちんと話していない方を見つけた時にニコニコしながら ¿Con quién tengo el gusto? です。「失念しているかもしれませんが、どちら様でしたでしょうか?」の意味で使えます。もちろん、初対面の方に先ずこちらから自己紹介して ¿Con quién tengo el gusto? というと、相手はとても愛想よく自己紹介してくれるでしょう!
初めてのメキシコ在勤時、大使館や大使公邸で数えきれないくらいの大きなレセプションやブッフェ、食事会がありました。駆け出しの私の役割は、玄関先で全ての来客に ¿Con quién tengo el gusto? と名前と所属、職名を尋ね、高官がお着きになったら、走って大使に耳打ちして知らせることでした。いつも汗だくでした!
みなさんも是非使ってみてください!¿Con quién tengo el gusto?

コン キエン テンゴ エル グスト?
¿Con quién tengo el gusto?
2015年10月22日 NHK スタジオパークにて撮影