カズオ・イシグロ作品を読んでみよう!37
カズオ・イシグロのデビュー作の「遠い山なみの光 A Pale View of hills 」の第 2 章です。イシグロ氏は、長崎出身!彼が日本にいたのは 5 歳までとのことですから、1954年から59年まで!
このデビュー作に現れる長崎の様子は、彼の記憶そのものなのかもしれません。裕福な家庭、知識人を含め、戦後の生活は過酷そのもの、家族や友人をも巻き込みながら、娘の幸せを願う母の姿が描かれていきます。
①何故、悦子の長女景子は自殺してしまうのだろう?
②佐知子とちょっと厄介な娘万里子は、結局アメリカに行けたのだろうか?
③その後、どうなってしまったのだろう?
④悦子は何故離婚してしまうのだろう?
⑤次女ニキのお父さんのイギリス人はどんな人なのだろう?
⑥どうして英語のできなかった悦子がイギリス人と再婚し、英国に住むことになったのだろう?
読み終わると次々と疑問が湧いてきます。よく読んで、想像力を膨らませてください。読者の好奇心が駆り立てられるとても面白い小説です。翻訳本と原作を並べて読み比べるのがいいと思います。英語で読む方が、登場人物の家柄、品の良さ、教養がよく表現されていると思います。
①藤原さんは母の親友の一人で、すでに髪も白くなりかけている、心の温かな人だったのである。藤原さんのうどん屋は繁華街の横丁にあった。For Mrs Fujiwara had been amongst my mother’s closest friends, a kindly woman with hair that was by then turning grey. Her noodle shop was situated in a busy sidestreet. *「繁華街の横丁」名訳です。
②夏に入った頃、緒方さんが泊まりに来た。緒方さんは夫の父なので私のせいも同じになてからも彼のことはいつでも緒方さんとしか考えられなかったのは、妙な気もする。Around that same time, in early summer, Ogata-San came to visit us. He was my husband’s father, and it seems rather odd I always thought of him as “Ogata-San”, even in those days when that was my own name. * 最後の that はもちろん 「Ogata という苗字」です。
③この緒方さんが、初めて松田重夫の話を持ち出した朝のことは、忘れられない。I remember the morning Ogata-San first mentioned Shigeo Matsuda.
④昔、あるクラスで河馬という渾名をつけられたことがある。しかし、そんな外見に騙されてはいけない。 I remember one class of pupils decided I resembled a hippopotamus. But you shouldn’t be put off by such outer trappings. *put off と聞くと咄嗟に「延期する」と反応しそうですが、「不快になる」という意味もあります。
⑤結局、緒方さんは、その晩もこの話を持ち出さなかった。As it turned out, he did not bring the matter up that night. *bring 〇〇 up で如何にも「持ち出す」という感じです。
You can 2020 はみなさんと一緒に東京オリンピックまでに世界とコミュニケーションが取れるバイリンガル国際人になることを目指します!誰にでもできます!可能です!必要なのは、自分でもやれそうかなと思い立つことだけ!