カズオ・イシグロ作品を読んでみよう!48
カズオ・イシグロ作品第 5 弾は「 浮世の画家 An Artist of the Floating World 」です。この作品は 1986年に出版された直後から英国で大好評を博し、Whitbread Book Awards 賞を獲得しています!続いてイシグロは 89 年出版の「日の名残り」で英国で最も権威あるブッカー賞 Booker Prize を獲得することになりますが、なぜかくも英国で評判となったのか、興味は尽きません。(youcan2020.comへ)
イシグロ氏の作品は難しすぎる、色々考えさせられるといった感想をお持ちの方が多いと思いますが、日本語訳でこの作品を読むと作者は日本人に違いないと思えるくらいの仕上がりです。翻訳の素晴らしさもあり、カズオ・イシグロ作品が一層身近に感じられるのではないでしょうか!
時代によって価値観が変わる!戦前・戦時中と戦後で全ての価値観が大きく変わってしまった中で主人公の老画家小野益次が生き様を振り返った末に悟るものは!テーマは戦中戦後にとどまらず、古い価値観の中で精一杯戦ってきた老いぼれの新たな生き様を見つめるという点で不変であるのではという気がします。私には何か曖昧で明快でない場面がいくつもありましたが、かえってその曖昧さがイシグロ作品の深さ、広がり、良さであるような気がします。不思議な感覚に襲われます。
さて、前置きが長くなりましたが、私は翻訳物を読むとき、カタカナ書きされた長い名前を読むのが苦手なのですが、「浮世の画家」に登場する名前は全て漢字表記となっています。今回は翻訳書から原文の書き振りを探っていこうと思います。最初の出だしからいくつか書き出してみました。
1 ためらい橋:the Bridge of Hesitation*長崎に思案橋というのがありました。
2 瓦葺の屋根:the roof with its elegant tiles*瓦は原文では tiles でした。
3 どんな大金持ちが住んでいるのだろうと首をかしげるであろう:you may find yourself wondering what sort of wealthy man owns it.*首をかしげるは単に wondering の訳でした。
4 気位の高そうな白髪の女性がふたり:two haughty, gray-haired ladies * haughty の発音はホーティです。
5 ただの儀礼訪問ではございません:they had not come simply out of courtesy
6 ご人徳をセリにかけさせていただくということでございます:What we mean to do from here on is to conduct an auction of prestige. *ご人徳は prestige の訳でした。
7 美術愛好家:an art enthusiast
8 木目の美しさ:the beauty of their grains * grain は穀物の粒ですが、木材や岩、なめし革の木目、きめ、はだの意味もあります。
9 母屋:the main body of the house *母屋の原文は main body でした。
10 お座なりのお悔やみを一言つぶやいただけで:She gave only the briefest of commiserations *お座なりのは the briefest でした。
11 重い障子を開けて:moved aside the heavy scleen * 障子は scleen でした。
このように日本語訳から原文を想像しながら読むというのもなかなか面白いと思いますがいかがでしょうか!色々な楽しみ方があるものです!
You can 2020 はみなさんと一緒に東京オリンピックまでに世界とコミュニケーションが取れるバイリンガル国際人になることを目指します!誰にでもできます!可能です!必要なのは、自分でもやれそうかなと思い立つことだけ!(youcan2020.comへ)