カズオ・イシグロ作品を読んでみよう!46
カズオ・イシグロの「遠い山なみの光 A Pale View of hills 」の最終第 11 章です。英国の悦子の家にニキが来ています。最初の夫との子の姉景子は自殺、ずっと昔長崎で暮らしていた時に知り合った佐知子と万里子母娘のことを思い出す展開のなかで、徐々に万里子の言動と景子の不運が重なってきます。娘の幸せを願わない母はいない。とりわけ大きな時代の流れの中でこうすることが最善と思ってとる決断が、時にはとんでもない悲劇を招いてしまうことにもなる。
イシグロ作品は、2、3時間でさっと一読して、理解することは不可能だと思われます。さっと読んだだけでは、あらすじや書評を書くべきではないし、実際それは不可能なように思われます。
①「パパは、もうすこし姉さんのことを考えてあげるべきだったんじゃないかしら。ほとんど相手にしなかったでしょう。あれではひどいわよ」I suppose Dad should have looked after her a bit more, shouldn’t he? He ignored her most of the time. It wasn’t fair really.
②「あなたのお父さまは、時々観念的になってね。あの頃だって、こっちへ来れば景子は幸せになれると本気で信じていたのよ」“Your father was rather idealistic at times. In these days, you see, he really believed we could give her a happy life over there.”
③「お母様がその頃の生活で満足して、そのままじっとしてたいとしたら、バカよ。少なくともその努力はしたわ」It would have been so stupid, if you’d just accepted everything the way it was and just stayed where you were. At least you made an effort.
④「女はもっと目を覚まさなきゃだめよ。みんな人生はただ結婚してうじゃうじゃ子供を生むものだと思ってるけど」「でも、結局、他にたいしたことがあるわけじゃないでしょ」“So many women just get brainwashed. They think all there is to life is getting married and having a load of kids.”, “But in the end, there isn’t very much else.”
⑤「最初の結婚の時には、夫がお義父様と一緒の家で暮らさないというので、散々言われたの。その頃の日本では、まだそれが当然だったのよ」“I remember when I first married, there was a lot of argument because my husband didn’t want to live with his father. You see, in those days that was still quite expected in Japan.”
⑥「ニキ、あなたにはとてもわからないわ。私は夫の父が大好きだったの」“Niki, you really don’t understand. Iwas very fond of my father-in-law.”
⑦門まで行って振り返ったニキは、私がまだ戸口に立ているのを見ると驚いたらしい。私はにっこり笑うと、手を振った。When she reaches the gate, Niki glanced back and seemed surprised to find me stillstanding at the door. I smiled and waved to her.
カズオ・イシグロ氏のデビュー作品はいかがでしたか?なんとも言えない共感、しっくりとしない曖昧さを感じつつ、なぜか自分の人生と重ねてみたくなる作品だと思います。英語の原作にぜひトライされることをお勧めします。
You can 2020 はみなさんと一緒に東京オリンピックまでに世界とコミュニケーションが取れるバイリンガル国際人になることを目指します!誰にでもできます!可能です!必要なのは、自分でもやれそうかなと思い立つことだけ!